お城の楽しみ方 -門編-

nakamura

お城の楽しみ方シリーズ。今回は「門」についてです。城門は「虎口」という入口通路の前に設置され、敵の攻撃に対する防衛装置として機能していました。主に冠木(かぶらぎ)、鏡柱(かがみばしら)、控柱(ひかえばしら)3種類の柱と扉で構成されるのが基本形。柱の数、開口の数によって分類される。

(やぐらもん)
上部が櫓になっているタイプ。防御力が高く最も格式の高い門。上部の櫓からは射撃や投石などで応戦することができた。防御力の高さに加えて威風堂々としてデザインもあり、大手門のように重要な門に用いられた。

江戸城 平川門

薬医門(やくいもん)
鏡柱と控柱を切妻屋根でおおった形式の門。室町時代から武家の門に使われていた。重要な入口に設置されるため、大きな屋根から、重厚な高い外観を持つ。格式高い門であるため、彫刻や装飾が施されることがある。現存するものは少ない。

旧水戸城薬医門 

高麗門(こうらいもん)
薬医門を小型化させたもの。二本の鏡柱、二本の控柱を立てて、冠木の上に切妻屋根をかけたもの。控柱上にも小さな屋根が乗っている。この様式は豊臣秀吉による朝鮮出兵後からみられ、攻め入った現地のデザインにインスパイアされたという説もある。しかし、当時の敵国の建築様式をパクるとは……柔軟といえば柔軟。

名古屋城旧二之丸東二之門

棟門(むなもん)
二本の鏡柱の上に冠木に切妻屋根をかけたもの。控柱がない。城ではあまりみられず、武家屋敷などの旧家屋に使われることが多い。

冠木門(かぶきもん)
二本の鏡柱の上に冠木をのせただけ(控柱がない)という、シンプルな構造。中世期城門によくみられる。

掛川城 天守下門

塀重門(へいじゅうもん)
もう二本の鏡柱しかない。冠木門を超えるシンプルさ。

二条城 塀重門

埋門(うずみもん)
城の石垣・土塀などをくり抜いたように造った小さな門。防御力が極めて高い。勝手口の用などに使われた。

松代城 埋門

城門キーワード
大手門(おおてもん):城の正面に設置された最も重要な門。大きく堅固なつくりであることが多い。大手門は、城の防御だけでなく、政治的なシンボルとしての役割も持っていた。
搦手門(からめてもん):城の裏側に設置された。大手門よりも控えめな造り。物資の搬入や城内への間接的なアクセスに使われることが多く、戦時には秘密裏に兵を出撃させたり、城外との連絡路としての役割も果たしていた。

日本の城門が単なる出入り口以上の役割を果たしていたことがお分かりいただけたかと存じます。時代背景と精巧な設計が融合した城門の数々。次回、お城を訪問される際には、その工夫と機能美にぜひ注目してみてください。

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